大手企業の挑戦に学ぶ 京都通運が描く「鉄道輸送×持続可能な物流」とは?

■ はじめに

いま物流業界全体が、大きな変革期を迎えています。
全国的にドライバー不足や物流コストの高騰、環境対応への要請が強まる中、
「どうすればこれからも効率よく、持続可能な物流を実現できるのか?」という課題に、多くの企業が向き合っています。

その解決策の一つとして、近年注目を集めているのが 「モーダルシフト」です。
これは、従来トラックだけで運んでいた貨物を、鉄道輸送に切り替えたり、鉄道とトラックを組み合わせた新しい輸送形態を取り入れる動きのこと。
背景には、CO2排出量の削減や燃料費の抑制、ドライバーの労働負担軽減など、さまざまなメリットがあるとされています。

京都市内でもこの動きは加速しており、地域に根ざした物流企業である京都通運も早くからモーダルシフトの取り組みをスタート。
鉄道コンテナ輸送とトラック輸送を組み合わせ、効率の良い物流ネットワークづくりを進めています。

こうした取り組みは、業界の未来像を考える上でも非常に参考になるものです。
このコラムでは、モーダルシフトがなぜ今注目されているのか?
鉄道輸送とトラック輸送の役割分担はどう変わりつつあるのか?
そのあたりを京都通運の実例も交えて、わかりやすく解説していきます。


■ なぜ今、鉄道輸送が注目されているのか?

近年、物流業界全体では「ドライバー不足」「環境対応」「物流コストの高騰」といった構造的な課題が深刻化しています。こうした中で改めて注目されているのが、鉄道輸送(モーダルシフト)という選択肢です。

国土交通省のデータによると、日本国内における中距離輸送(201〜400km)では、鉄道輸送の割合はわずか2%程度にとどまっています。一方で、長距離輸送(1000km以上)になると、そのシェアは50%以上に跳ね上がるという状況。

つまり、現状では「長距離物流」では鉄道が積極的に活用されているものの、「地域物流」「中距離物流」に関しては、まだまだトラック輸送が圧倒的に主流となっているのが現実です。

しかし、ドライバーの高齢化や労働時間の規制強化(いわゆる2024年問題)の影響で、トラック運送だけに頼った物流の維持が難しくなってきています。

さらに、CO2削減など環境配慮型社会への転換も求められるなかで、鉄道輸送は「大量輸送が可能で環境負荷が低い手段」として再び注目が集まっているのです。

最近では「モーダルコンビネーション」という言葉も注目されています。

従来、鉄道で貨物を輸送する際には、専用のコンテナ車両が必要とされていました。

しかし近年では、10トントラックで駅頭(鉄道コンテナヤード)まで荷物を持ち込み、そこから鉄道用コンテナに積み替えて発送する――こうしたトラックと鉄道を組み合わせた輸送形態が「モーダルコンビネーション」と呼ばれるようになっています。


■ 京都の物流における課題と現実

こうした全国的な課題は、もちろん京都の物流業界にとっても無関係ではありません。
むしろ京都市内およびその周辺エリアでは、以下のような現実的な問題がより深刻に表れています。

  • 中型・大型ドライバーの人手不足
    → 特に若手ドライバーの確保が難しく、高齢ドライバーに依存する構造が続いている
  • ドライバーの高齢化進行
    → 60歳以上のドライバー比率が高まっており、将来的な供給不足が避けられない
  • 排出ガス規制への対応プレッシャー
    → 都市部では一層厳しい環境規制が進みつつあり、エコ化対応が求められている
  • 原油価格の変動による輸送コスト上昇
    → 燃料費の高騰が物流コスト全体に重くのしかかっている

こうした状況の中、京都通運では「鉄道コンテナ輸送の積極活用」と「効率的な車両運行管理」をセットで推進。
さらに働き方改革も同時に進め、ドライバーの労働環境改善にも取り組んでいます。

「京都市を拠点にしながら、地場物流と全国ネットワークをうまく両立」できているのが大きな特徴。
今後も鉄道×トラックのハイブリッド輸送モデルが京都の物流において重要な選択肢となっていくことは間違いありません。


■ 大手食品メーカーの実例:なぜ鉄道に切り替えたのか?

2023年、ある外資系の大手食品メーカー が、京都~関東間を結ぶ輸送ルートにおいて大きな決断を下しました。
これまで毎日40台分のトラック輸送(約200トン分)で運んでいた荷物の大部分を、鉄道コンテナ輸送へと切り替えたのです。

これは物流業界でも大きな話題となり、「モーダルシフト」の流れを象徴する実例とされています。

この背景にはいくつもの理由があります

  1. 2024年問題(時間外労働の上限規制)への対応
     従来の長距離トラック輸送では、ドライバーの拘束時間がどうしても長くなりがちでした。
     2024年4月からの改正法適用により「月60時間を超える残業は5割増し」となり、長距離運行のコスト負担が急激に高まることが予測されていたのです。
  2. ドライバー不足の緩和
     全国的なドライバー不足が進む中で、京都~関東間の長距離便に若いドライバーを配置するのは非常に困難。安定的な輸送手段の確保が急務となっていました。
  3. サステナビリティ(CO2排出量の削減)
     企業の社会的責任(CSR)として、CO2排出量削減は避けて通れない課題。
     鉄道はトラック輸送と比較して約10分の1以下のCO2排出量とされており、この効果は非常に大きい。
  4. 企業ブランド価値の向上(CSR)
     「持続可能な物流」を選択すること自体が、企業ブランドや取引先との関係性強化にもつながる判断だったと考えられます。

もちろん、鉄道輸送には課題もあります。
再配達の手間や、小回りのきかなさなどはトラック便に劣る部分も多い。
さらに、鉄道利用により物流費そのものは若干上昇したとも言われています。

それでも「将来を見据えた投資」としてこの選択を行ったわけです。

ちなみに国の統計によると、2022年度時点でも 中距離輸送(201〜400km)の鉄道シェアはわずか2%。
そんな中でこの企業のケースは、業界全体に大きなインパクトを与えるものといえます。

毎日40コンテナ(約200トン)もの貨物が鉄道にシフトしたことで、
ドライバー負担軽減とCO2削減にしっかりと貢献しているのは明らか。

こうした大手企業の取り組みは、これから中堅・中小の物流会社や荷主側にも広がっていくことが期待されています。


■ 鉄道輸送の強み:ドライバーの働き方改革+環境対応

鉄道輸送には、他の輸送手段にない大きな強みがあります。
たとえば・・・

  1. 1本の貨物列車で、トラック約65台分の荷物を一度に運搬できる
  2. CO₂排出量がトラックの10分の1以下
  3. 交通渋滞・事故・天候の影響を受けにくい高い定時性

こうした特徴により、環境負荷の低減や社会的責任(CSR)対応といった企業の取り組みにも貢献しています。

そして、これは「運送業で働く人」にとっても大きなメリットがあるのです。
とくに近年問題となっている 長距離ドライバーの負担。

これまでは京都から関東・関西圏への長距離輸送の多くが「大型トラックによる夜間走行」に頼っていました。
しかし現在、鉄道+トラックの組み合わせによるモーダルシフトが進むことで、
長距離区間は鉄道に任せ、近距離・中距離の配送のみをドライバーが担当するケースが増えてきています。

結果、ドライバーの拘束時間が短縮され、
毎日決まったリズムで仕事ができる「働きやすい職場環境」が整いやすくなっているのです。

ここで重要な役割を担うのが コンテナドライバー です。

鉄道で運ばれてきたコンテナ貨物は、**JR貨物駅(京都貨物駅など)から、
各企業や倉庫に向けて大型車両(コンテナ専用トラック)**で配送されます。

この配送には 大型免許が必要です。
「中型免許では対応できない」ため、大型ドライバーの存在が不可欠になります。

また、コンテナ貨物は「バラ積み」であることも多いため、
パレット積み中心の一般貨物と比べると積み下ろしの手間がかかる場合があります。

そのため、大型ドライバーからコンテナドライバーへ転向する際には、
「バラ積みの作業負担」といった心理的な壁を感じる人も少なくありません。

しかしその一方で、バラ積み作業に対する手当がしっかり支給されるケースが多く、
しっかりとした給与面でのメリットもあります。

さらに、鉄道輸送の特徴として 「電車の時刻表に合わせた配送スケジュール」になるため、
ドライバー側にとっては 無駄な待機時間や長時間拘束が発生しにくく、
毎日自宅に帰れる働き方がしやすいという大きな利点も生まれます。

このため、長時間不規則な勤務を避けたい人や、
家庭と仕事のバランスを重視したい大型ドライバーにとっては、
コンテナドライバーとして働くことが魅力的な選択肢になりつつあります。

■ 京都通運の挑戦:鉄道とトラックの“いいとこ取り”物流

京都通運では、2024年問題によるトラック輸送力の減少を見据え、
早くから荷主企業に対して 「モーダルシフト(鉄道活用)」を積極的に提案してきました。

すでに複数の大手取引先とともに
「鉄道輸送+トラック配送」のハイブリッドモデルを構築しています。

取り組み例

  • JR京都貨物駅を拠点とした専用コンテナ輸送の導入
  • 駅から各地域への地場配送(中型・大型車)との効率的な連携
  • 配車効率を高める運行管理システムの導入
  • ドライバー負担軽減のための運行ルールの見直し
  • 京都貨物駅にて、トレーラーで運ばれてきた軽自動車を鉄道用コンテナに積み替え発送する業務(この作業は、「モーダルコンビネーション」という言葉が広まる以前から取り組んできた、トラックと鉄道の連携輸送の一例です。)

さらに、荷主専用の鉄道コンテナの設計支援や
助成金制度の活用提案など、
「モーダルシフトを進めやすい環境づくり」も積極的に取り組んでいます。

こうした荷主への提案活動や、鉄道輸送の利点・将来性を伝えながら
「よりよい物流の形」を一緒につくっていく役割を担っているのが、
まさに 京都通運の総合職(物流マネジメント職) です。

総合職は、顧客と日々密なコミュニケーションをとり、
時代の変化や物流の未来を見据えて、最適な輸送方法を提案していく存在。

モーダルシフト推進や、新しい物流サービスの企画・営業力が
これからの物流業界ではますます求められていくため、
総合職の活躍フィールドも大きく広がっているのが現状です。


■ モーダルシフトを後押しする補助金制度

「でも、鉄道輸送って導入コストが高そう…」
という声もよく聞きます。

確かに、鉄道輸送を本格導入するには、専用コンテナの整備や、
運用ノウハウの蓄積など、一定の初期コストがかかるのも事実です。

しかし、いまは国や自治体による支援制度が充実しており、
上手に活用すれば企業側のコスト負担をかなり軽減することが可能です。

主な支援例

  • モーダルシフト等推進事業(国交省)
     ・計画策定費用:最大 500万円補助
     ・実行支援費用:最大 1000万円補助
  • グリーン物流パートナーシップ会議 認定制度
     ・脱炭素・環境負荷軽減に向けた優良事例として認定支援

京都通運では、JR貨物と強固なパートナーシップを築いており、
こうした補助金制度や支援情報を荷主企業へ積極的にご案内しています。

「国のこうした施策を最大限に活用し、費用面でのハードルを下げる」ことも
京都通運としてはモーダルシフト推進の大切な取り組みの一つと考えています。

さらに言えば、鉄道コンテナの輸送枠にも限りがあります。
現在トラック輸送メインの荷主企業が、
「じゃあ今から鉄道使おう」と一斉にシフトしようとしても、
枠不足になってしまうリスクもあります。

そのため、今のうちから一歩先に取り組みを始めておくことが、
将来 「自社の商品が運べない!」 という状況を防ぐ意味でも重要です。

先手を打って、鉄道輸送のルートや枠を確保しておくこと。
これも今後の物流戦略として、荷主企業にとって大事な視点かもしれませんね。

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